特別展

急ぎません。木には時間があります。木材には未来があります。木はひたすら成長しています。 ― 3億年前から、すべての大陸において。欧州では300年以来、森林が育成され、持続可能な方法で利用されています。オーストリアは日本と同様に森林の国で、何百年も前から木造で建設されてきました。しかし特にこの30年間、オーストリアにおける木構造は完全に再定義され、あらゆる建築分野に普及するようになっています。多層階の住宅、商業・産業建築、インフラ建築、医療福祉施設、宗教建築、文化や教育のための建物などです。

展示場にある、アトリエ・アンドレア・ガッスナー制作の巨大な折り紙のように開く木の彫刻は、面的な部材から成る今日の木造建築の構造的特性を暗示しています。木材の魅力は、その美しさと柔軟さ、軽さと構造的強さにあります。そして地域で入手できるものであり、気候にあらゆる面から良い影響を与えるため、木は未来の建材として重視されています。

ここに選ばれた30のプロジェクトは、オーストリアの木造現代建築の革新力と文化的自負を示すものです。展示には、オーストリアの建築事務所HK Architekten設計による日本の富山県黒部市に建つ建物も含まれています。YKK不動産が手掛けた「パッシブタウン」では住宅建築における革新的なアプローチが実現されており、ヨーロッパの大規模な木造現代建築で得た見識を日本に適した形で転用しています。