パッシブハウス基準で建設されたこの高齢者向け住宅・ 介護施設は、比較的閉鎖的で大きな容積と、数多くのヴィジュアルやコンテンツ面でのディーテールにより、周辺環境や入居者のルーツを示唆しています。

コンクリート（つまり「石」）造の基礎の上に建てられたこの2階建ての木骨造建築は、この地域によく見られる農家的な建て方を採用しており、多くのエリアに間接的な自然光が入り込むことで、干し草小屋や納屋のような雰囲気を醸し出しています。また、適所に数多く設けられた開口部からは、見慣れたラチュール山への眺めが楽しめます。内向きのエレメントとして建物の中心部に据えられたアトリウムは、癒しやアイデンティティ形成に寄与する効果を発揮するとともに、ホールや通路などの公共エリアに自然光を供しています。